山内うどんの味

 香川といえば、うどん。
飯山(現丸亀市)の中村うどんは、そのうどんブームの火付け役で、
今でも多くのうどん好きを魅了しているが、俺のオススメは、仲南町の山内うどんだ。

 今日、出張がてら久しぶりに足を運んでみたが、ただただのどかな田舎道、しかもそこから脇道に逸れた上、さらに山を登ってゆくというとんでもない辺境にもかかわらず、どこからやって来るのか香川ナンバーの車が行ったり来たり・・・間違いなく・・・間違いようもなく、皆この店を目指してやってきているのだ。

 キツイ坂を上りきると、一件の家が見えてくる。一見どう見ても、田舎家。緑に囲まれていたり、奥に薪が積んでいたりで、なんだか昔にタイムスリップしてきた感もあるこの家が、山内うどんだ。店内も昔ながらの安いうどん屋さんといったところ。メニューは、かけうどんに醤油うどん。麺とダシの熱さを選べて、「ひやひや」や「ひやあつ」などという言い方で注文する。
もちろん天ぷらも置いてあるので、今日は「ひやひや」のぶっかけ特大に、エビのかき揚げをチョイスする。これで500円しないからありがたい。

 麺はしっかりしており表面はツルツルとして光沢を放っている。
軽く噛むと、しっかりとした弾力。しかしさらに噛めばゴムのようなしつこい弾性ではないことがわかる。
 ダシは甘過ぎず、くどくなく、深みというより旨みのダシ。
柔らかな中にレモンを思わせるような酸味がほどよく効いて食欲をそそる。

 そしてなにより驚かされるのは、ダシに入ったネギ。
なにげなく噛んだ時のダシとのコントラスト。
ほどよいピリっと感と、豊かなネギ特有の風味。それがダシの旨みになれたの舌に絶妙のアクセントをつけ、ネギはさらに風味豊かに。ダシは再びフレッシュに、おいしさを味わわせてくれる。
ここまで存在感を感じさせてくれたネギは生まれてはじめてだ!

 山内うどん。もちろん麺もダシも最高だ。
しかし忘れてはならない。 ここには“最高のネギ”があることを。